生産管理読了時間 12 分
生産の納期がずれる理由
約束した納期を守るには、機械の空きだけでなく、段取り、材料、前工程の遅れも見込む必要があります。現場で排程が崩れる要因を整理します。
01リードタイムが伸びる理由
基本的なMRPは、納期から固定のリードタイムを引いて着手日を決めます。しかし仕掛品が増えると待ち行列も長くなり、実際のリードタイムは伸びます。古い前提のまま排程すると遅れが重なります。
- 納期が読めない → 保険として早めに投入する
- 仕掛が増える → 待ち行列が伸びる → 実リードタイムが伸びる
- システムのリードタイム値を長く直す
- さらに早く投入する → 仕掛がさらに増える → 2 に戻る
リトルの法則は平均仕掛量、スループット、リードタイムを WIP = throughput × lead time で結びます。仕掛を減らすだけで全てが解決するわけではありませんが、能力が限られた工程に仕事を投入しすぎると待ち時間が伸びる理由を示します。
02ボトルネックを見つける
- ボトルネックで失った 1 時間は、工場全体で失った 1 時間であり、取り返せません。
- ボトルネック以外で節約した 1 時間は、節約になりません。仕掛が増えるだけです。
- つまりボトルネックは、止めない・不良を作らない・材料待ちをさせない・段取りを最短にする、が原則になります。
| 位置 | 打ち手 |
|---|---|
| ボトルネックの前 | バッファを置き、材料切れを起こさせない |
| ボトルネック自体 | 24 時間稼働、保全を最優先、上流で先に検査 |
| ボトルネックの後 | バッファは不要。ただし後工程でその産出を詰まらせない |
03三つの排程方法
| 方法 | 考え方の核 | 向く場面 |
|---|---|---|
| MRP(無限能力) | BOM とリードタイムから逆算する | 資材所要量計画。工程の順序づけには向かない |
| APS(有限能力) | 設備・人・金型の実際の空きを考慮する | 多台数・多工程の個別生産 |
| DBR(ドラム・バッファ・ロープ) | ボトルネックがリズムを決め、投入をそれに縛る | ボトルネックが明確なライン |
| CONWIP | 仕掛の総量を一定に保つ | 製品構成が変わり、ボトルネックが移動する場合 |
| かんばん | 後工程引取りによる補充 | 需要が安定した繰返し生産 |
ドラム・バッファ・ロープでは、制約工程の能力に合わせて投入を管理します。制約工程がペースを決め、バッファが前工程の変動を吸収し、投入信号が仕掛の増加を抑えます。狙いは設備を常に満杯にすることではなく、流れを安定させることです。
04排程に必要な情報
- 工程順序:各工程をどの機械で、どの順で、代替機は何か
- 標準時間:加工数間と段取り時間を分けて持つこと
- 設備カレンダー:シフト、保全、休日
- 金型と治具:見落とされがちな第二の資源
- スキルマトリクス:誰もがどの機械も回せるわけではない
05改善の始め方
- 本当のボトルネックを見つける(稼働率の帳票ではなく、仕掛がどこに溜まっているかを見る)
- 段取り時間を実測し、加工工数と分けて記録する
- 投入を制限する。仕掛の上限を決め、それに達したら投入を止める
- ボトルネックの前にバッファを置き、その消費状況を監視する
- SMED で段取りを短くし、小ロットを成り立たせる