生産管理読了時間 11 分
七つのムダを現場で見つける
運搬、待ち、作り過ぎは、忙しい現場ほど仕事に見えがちです。七つの分類を手がかりに、目に見える作業の奥にある原因を探します。
01七つのムダ
| ムダ | 加工工場での姿 | 測る指標 |
|---|---|---|
| 運搬 | 仕掛品が工場内を 3 往復して、ようやく次工程に着く | 移動距離、運搬回数 |
| 在庫 | 仕掛が通路に積まれ、完成品が 2 年寝ている | 仕掛金額、在庫の滞留日数分布 |
| 動作 | 作業者が毎回、反対側まで測定具を取りに歩く | 作業者の歩行距離、取り出し時間 |
| 手待ち | 図面待ち、材料待ち、検査待ち、上長の承認待ち | 手待ち工数の比率 |
| 作りすぎ | ロットを揃えるために 50 個多く作る | 投入数 ÷ 受注数 |
| 加工しすぎ | 機能面でもない面まで Ra 0.8 まで磨く | 図面の要求と突き合わせる |
| 不良と手直し | 寸法が外れて削り直す | 不良率、手直し工数 |
02作業の流れを見える化する
バリューストリームマップ
代表的な製品を一つ選び、受注から出荷までの流れをたどります。各工程の加工時間と待ち時間を分けて記録すると、停滞している場所が見えます。比率を出すだけで終えず、なぜ待ちが生じるのかを調べます。
- 改善に手をつけていない加工工場では、この比率はたいてい 0.5〜5% に収まります。
- つまり、時間の 99% は待っているということです。
- 改善の余地はほぼ待ちの側にあり、切削速度の側にはありません。
スパゲッティ線図
製品や作業者の移動を工場の平面図に描き込みます。長い迂回や交差が重なれば、設備配置の問題が見えてきます。実際に作業する人と経路を確認します。
現地現物
一つの作業サイクルを現場で通して観察します。探す、手を伸ばす、承認を待つ、同じ動きを繰り返すといったロスは、報告書に表れにくいものです。
03ムダに合わせた改善手法
| 問題 | 道具 | 効果 |
|---|---|---|
| 段取りが長く、大ロットにせざるを得ない | SMED(シングル段取り) | 段取り時間は半分以下になることが多い |
| 道具を探すのに時間がかかる | 5S | 動作と手待ちのムダ |
| 仕掛が多すぎる | 引っ張り生産/かんばん | 在庫とリードタイム |
| 不良が次工程へ流れる | 自働化、ポカヨケ | 不良と手直し |
| レイアウトが運搬を生む | セル生産 | 運搬と手待ち |
| 同じ問題が繰り返し起きる | 5 Why、A3 | 根本原因が解けていない |
SMEDでは、機械停止中にしかできない段取りと、稼働中に準備できる段取りを分けます。外に出せる作業を移したうえで、残る停止作業を簡素化し、実際の短縮時間を測ります。
04改善時の落とし穴
- 設備稼働率を追う。ボトルネック以外を満杯に回せば、仕掛が増えるだけです。生産計画を参照してください。
- 写真映えのための 5S。整理整頓は見事でも工程は変わらず、3 か月後には元どおりになります。
- 一気に全社展開する。1 ラインをモデルにして成果を出し、それから広げるほうが、全工場同時よりはるかに成功率が高い。
- 改善をコスト削減とみなす。目的はリードタイムの短縮です。コストが下がるのは結果であって、手段ではありません。