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加工方法読了時間 15 分

見積りの前に加工方法を決める

同じ形でも、切削、プレス、成形では費用が大きく変わります。材質、公差、仕上げ、生産数量を図面から読み取り、工程を選びます。

Wikimedia Commons・CNC Mill 1.jpg・CC BY-SA 4.0

01工法の三分類

工法は、材料を削る、変形させる、型に流し込むという違いから整理できます。初期費用、加工時間、実現できる形状はそれぞれ異なります。図面の要求で候補を絞り、生産数量で経済性を比べます。

分類代表的な工法初期投資単価適するロット
切削(除去)フライス、旋削、穴あけ、研削、放電低(治具)高1〜数千
塑性(変形)プレス、曲げ、鍛造、絞り、圧延高(金型)きわめて低い数千以上
成形(充填)射出成形、ダイカスト、粉末冶金きわめて高い(金型)きわめて低い数万
工法の費用は型、加工時間、材料歩留まり、数量の組合せで決まります。

02切削加工の特徴

フライス、旋盤、穴あけ、研削はいずれも材料を除去する加工です。形状の自由度と寸法管理に強みがありますが、材料ロス、工具摩耗、加工時間が量産時の費用に効きます。

工程と精度の階段

工程代表的な公差代表的な Ra問うこと
粗フライス/粗旋削±0.2 mm6.3~12.5取り代を残し、除去率を優先
仕上フライス/仕上旋削±0.05 mm1.6~3.2一般的なはめあい面の最終加工
リーマ/中ぐりIT7(±0.01 級)0.8~1.6穴の精度と円筒度
平面研削/円筒研削IT5~IT60.2~0.8硬材、熱処理後の最終加工
ラッピング/ホーニングIT4 以上0.05~0.2シール面、ゲージ、シリンダボア
厳しい公差には追加工程と検査が必要な場合があります。機能に必要な範囲を指定します。

5 軸と複合加工機

段取りを変えるたびに位置決め誤差が加わる可能性があります。複合機や多軸機で一度の固定にまとめれば、加工時間と位置精度の両面で有利な場合があります。ただし設備費との比較が必要です。

03塑性加工と型費

プレス、曲げ、鍛造、絞りは材料を主に変形させる工法です。型を用意すれば短いサイクルで作れますが、型費と設計上の制約があるため、生産数量が選択を左右します。

図面に出る板金の手がかり

  • 板厚が一定。厚みの寸法は 1 つだけで、あとは外形と穴位置です。
  • 曲げ線と曲げ R。R が小さすぎると割れます。目安は軟材で板厚の 1 倍、硬材で 2 倍以上。
  • 展開寸法または展開図。展開長を支給する客先もあれば、自分で計算する場合もあります。
  • 穴から曲げ線までの距離。近すぎる穴は曲げで変形します。一般に板厚の 2.5 倍+R 以上が必要です。
プレスブレーキ。板金部品の形はここでほぼ決まります。だから展開長は切断前に出しておく必要があります。
プレスブレーキで形状が決まる前に、展開寸法を確認して下料します。Wikimedia Commons・High-tonnage press brake・CC BY-SA 4.0

鍛造品の図面の特徴

鍛造品の図面には、素材形状と最終加工形状が併記されることがあります。抜き勾配、パーティングライン、加工代から、どの面を削り、どこで公差を確保するかを読みます。

04成形と肉厚

射出成形は樹脂で一般的で、金属粉末を用いる方式もあります。肉厚の均一さ、抜き勾配、リブ、ゲート、押出しピンの位置は、成形を前提とした設計の手がかりです。

設計項目一般的な目安守らないと
肉厚均一に、変化は 25% 以内ヒケ、へこみ、内部応力
リブの厚み主肉厚の 50〜60%リブ根元のヒケ
抜き勾配片側 0.5°〜2°離型時のかじり、白化
隅 R肉厚の 0.5 倍以上応力集中、割れ
ゲート位置厚い側から入れ、意匠面を避けるショートショット、フローマーク、ウェルドライン
成形の基本条件は試作型を作る前に図面で確認できます。

05コストを変える図面の指示

  1. 公差等級。普通公差(ISO 2768-m)と個別指示の IT7 は別の工法です。
  2. 表面粗さ。Ra 3.2 はフライス 1 パスで届き、Ra 0.4 はほぼ確実に研削が要ります。
  3. 幾何公差。位置度 Ø0.05 は、1 回の段取りで仕上げる必要を意味しうる。
  4. 材種。SUS304 は S45C より被削性が大きく劣り、道具寿命も工数も変わります。
  5. 熱処理。仕上げの前に置くか後に置くかで工順は組み直しになり、熱処理による変形分も取り代として図面に見込む必要があります。
  6. 表面処理。アルマイト、亜鉛めっき、黒染めはいずれも寸法を変えます。図面に「処理前」「処理後」のどちらで測るか書かれていなければ、受入で必ず揉めます。