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H7/h6のはめあいを読み解く
はめあい記号は、穴と軸それぞれの公差域を示します。基準寸法を起点に、最大・最小のすきまをどう求めるかを具体的に見ていきます。
01はめあい記号の読み方
ISO のはめあい記号では、文字が基準寸法に対する公差域の位置を、IT 等級の数字が幅を示します。大文字は穴、小文字は軸です。すきまやしめしろは、両方の公差域を組み合わせて求めます。
- 大文字は穴(内側寸法)、小文字は軸(外側寸法)に使います。
- 文字は A から Z まで。A〜G は穴が大きめ(すきま側)、H は下の許容差がちょうど 0、J〜ZC は穴が小さめ(しめしろ側)です。軸は逆で、a〜g が小さめ、h は上の許容差が 0、j〜zc が大きめになります。
- IT 等級は IT01 から IT18 まであり、数字が小さいほど公差は厳しくなります。同じ IT 等級でも基準寸法が違えば実際の値は変わります。寸法が大きいほど公差は広くなります。
| IT 等級 | Ø20 での公差値 | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| IT5 | 9 μm | ゲージ、精密軸受のはめあい |
| IT6 | 13 μm | 精密はめあい、歯車軸 |
| IT7 | 21 μm | 一般的なはめあい面(最も多い) |
| IT8 | 33 μm | やや緩いはめあい |
| IT9 | 52 μm | はめあい面以外、キー溝 |
| IT11 | 130 μm | プレス品、鋳物の加工面 |
02すきま・中間・しまりばめ
穴と軸の公差域を同じ基準寸法上で重ねると、組み合わせたときの最大・最小のすきま、またはしめしろが分かります。その範囲から、すきまばめ、中間ばめ、しまりばめを判断します。
| 性格 | 定義 | よくある組み合わせ(穴基準) | 用途 |
|---|---|---|---|
| すきまばめ | 常に穴が軸より大きい | H7/g6、H7/f7、H8/e8 | すべり軸受、ガイドポスト |
| 中間ばめ | すきまになることも、しめしろになることもある | H7/k6、H7/m6、H7/js6 | 位置を出しつつ分解も必要なとき |
| しまりばめ | 常に軸が穴より大きい | H7/p6、H7/r6、H7/s6 | 軸受外輪、ブッシュの圧入 |
しまりばめで考えること
- 圧入力はしめしろに割合します。大きすぎれば薄肉部品は割れます。
- 焼きばめ/冷やしばめ。外側を温める、あるいは軸を冷やすと組付力は大きく下がりますが、温度差が材料特性に影響しないか確認が必要です。
- 表面粗さは圧入で潰れるため、実際のしめしろは図面寸法より小さくなります。しまりばめ面に低い Ra を別途要求するのはこのためです。
03普通公差
個別の公差が書かれていない寸法にも限界があります。表題欄付近の普通公差の指示を確認し、より具体的な指定がない寸法に適用します。
| 等級 | 記号 | 6〜30 mm の長さ公差 | 問うこと |
|---|---|---|---|
| 精級 | f (fine) | ±0.1 mm | 精密機械 |
| 中級 | m (medium) | ±0.2 mm | いちばん多い |
| 粗級 | c (coarse) | ±0.5 mm | 一般的な構造部品 |
| 極粗級 | v (very coarse) | ±1.0 mm | 鋳物、ガス切断 |
ISO 2768-mK のような指示は、一般的な長さ・角度の公差等級と、対象となる幾何公差の等級を組み合わせたものです。両方を読み、図面が参照する規格の版も確認します。
04読み違えやすい点
- 「H7 とは ±0.01 のこと」。違います。H7 は下の許容差が常に 0 で、公差はすべてプラス側にあります。しかも値は基準寸法で変わります。
- 「公差は厳しいほど安全」。精度の要らない寸法に IT6 を書けば、機能は変わらずコストだけ上がります。公差は組付の要求から逆算すべきものです。
- 「普通公差は重要でない」。図面の 8 割の寸法がそれに依存します。2768-m を 2768-f に変えれば、図面全体の加工難度が変わります。