お問い合わせ 今すぐ試す

← ブログ一覧へ

図面判読読了時間 12 分

H7/h6のはめあいを読み解く

はめあい記号は、穴と軸それぞれの公差域を示します。基準寸法を起点に、最大・最小のすきまをどう求めるかを具体的に見ていきます。

H7

01はめあい記号の読み方

ISO のはめあい記号では、文字が基準寸法に対する公差域の位置を、IT 等級の数字が幅を示します。大文字は穴、小文字は軸です。すきまやしめしろは、両方の公差域を組み合わせて求めます。

  • 大文字は穴(内側寸法)、小文字は軸(外側寸法)に使います。
  • 文字は A から Z まで。A〜G は穴が大きめ(すきま側)、H は下の許容差がちょうど 0、J〜ZC は穴が小さめ(しめしろ側)です。軸は逆で、a〜g が小さめ、h は上の許容差が 0、j〜zc が大きめになります。
  • IT 等級は IT01 から IT18 まであり、数字が小さいほど公差は厳しくなります。同じ IT 等級でも基準寸法が違えば実際の値は変わります。寸法が大きいほど公差は広くなります。
IT 等級Ø20 での公差値代表的な用途
IT59 μmゲージ、精密軸受のはめあい
IT613 μm精密はめあい、歯車軸
IT721 μm一般的なはめあい面(最も多い)
IT833 μmやや緩いはめあい
IT952 μmはめあい面以外、キー溝
IT11130 μmプレス品、鋳物の加工面
基準寸法20 mmでのIT値の例。適用するISO 286の表と図面の指示を確認します。

02すきま・中間・しまりばめ

穴と軸の公差域を同じ基準寸法上で重ねると、組み合わせたときの最大・最小のすきま、またはしめしろが分かります。その範囲から、すきまばめ、中間ばめ、しまりばめを判断します。

性格定義よくある組み合わせ(穴基準)用途
すきまばめ常に穴が軸より大きいH7/g6、H7/f7、H8/e8すべり軸受、ガイドポスト
中間ばめすきまになることも、しめしろになることもあるH7/k6、H7/m6、H7/js6位置を出しつつ分解も必要なとき
しまりばめ常に軸が穴より大きいH7/p6、H7/r6、H7/s6軸受外輪、ブッシュの圧入
H7の穴を固定し、軸側の公差域を変えると、はめあいの範囲が変わります。

しまりばめで考えること

  • 圧入力はしめしろに割合します。大きすぎれば薄肉部品は割れます。
  • 焼きばめ/冷やしばめ。外側を温める、あるいは軸を冷やすと組付力は大きく下がりますが、温度差が材料特性に影響しないか確認が必要です。
  • 表面粗さは圧入で潰れるため、実際のしめしろは図面寸法より小さくなります。しまりばめ面に低い Ra を別途要求するのはこのためです。

03普通公差

個別の公差が書かれていない寸法にも限界があります。表題欄付近の普通公差の指示を確認し、より具体的な指定がない寸法に適用します。

等級記号6〜30 mm の長さ公差問うこと
精級f (fine)±0.1 mm精密機械
中級m (medium)±0.2 mmいちばん多い
粗級c (coarse)±0.5 mm一般的な構造部品
極粗級v (very coarse)±1.0 mm鋳物、ガス切断
指定された寸法範囲の普通公差の例。図面が指定する等級を適用します。

ISO 2768-mK のような指示は、一般的な長さ・角度の公差等級と、対象となる幾何公差の等級を組み合わせたものです。両方を読み、図面が参照する規格の版も確認します。

04読み違えやすい点

  • 「H7 とは ±0.01 のこと」。違います。H7 は下の許容差が常に 0 で、公差はすべてプラス側にあります。しかも値は基準寸法で変わります。
  • 「公差は厳しいほど安全」。精度の要らない寸法に IT6 を書けば、機能は変わらずコストだけ上がります。公差は組付の要求から逆算すべきものです。
  • 「普通公差は重要でない」。図面の 8 割の寸法がそれに依存します。2768-m を 2768-f に変えれば、図面全体の加工難度が変わります。