加工方法読了時間 11 分
治具設計:位置決めを先に、クランプは後に
機械の精度が高くても、ワークが治具内で動けば寸法は安定しません。3-2-1の考え方を使い、変形や工具干渉を避けながら固定します。
01六つの自由度
固定していないワークは、三方向に移動し、三つの軸のまわりに回転できます。治具の位置決め面は、この六つの自由度を再現性よく拘束します。クランプはその位置を保持する役割であり、位置決めの代わりにはなりません。
023-2-1の位置決め
- 主基準面は 3 点。Z 方向の並進と、X・Y 軸まわりの回転を拘束し、自由度 3 つを取ります。3 点はできるだけ離し、囲む三角が大きいほど安定します。
- 第二基準面は 2 点。Y 方向の並進と Z 軸まわりの回転、自由度 2 つを拘束します。
- 第三基準面は 1 点。残る X 方向の並進を止めます。
3-2-1の考え方では、3点、2点、1点の接触で位置を再現します。固定支持点を増やしすぎると、面のわずかな誤差でワークががたつくことがあります。追加の支持が必要なら、位置決め後に調整支持を当てます。
| 位置決め要素 | 拘束する自由度 | よくある形 |
|---|---|---|
| 平面 | 3(並進 1+回転 2) | 位置決めパッド、支持ピン |
| 長いピン(穴にはめる) | 4(並進 2+回転 2) | 円筒位置決めピン |
| 短いピン(穴にはめる) | 2(並進 2) | 短い円筒ピン |
| ダイヤピン | 1(ピン軸まわりの回転) | 面取りピン。過拘束を避ける |
| V ブロック | 2(並進 2) | 円筒ワーク |
03避けたいクランプ位置
- 宙に浮いた部分を押さえない。クランプ力は真下の支持で受け止める必要があります。さもないとワークは曲がり、緩めると戻り、加工面が変形します。
- 加工面を押さえない。これから切り落とす部分も同様です。
- 切削力でワークを基準面から引き離さない。道具の進行方向は、ワークを基準へ押し付けるようにとります。
クランプ力はどれくらいか
クランプ力は切削力に耐えつつ、ワークを変形させない範囲に収めます。薄肉や軟らかい材料では、一か所を強く押すより接触面積を広げる方法が有効です。必要に応じて真空や磁力による保持も検討します。
04図面のデータムと合わせる
可能な限り、治具の位置決め基準を図面の機能データムに合わせます。別の面を基準に加工するなら、データムの移し替えによる誤差を公差設計に含めます。
| 状況 | 結果 | 対処 |
|---|---|---|
| 治具基準=図面基準 | データム変換誤差なし | 理想 |
| 治具基準≠図面基準 | 誤差が積み上がり公差を食う | 寸法連鎖を計算し直すか、治具を変える |
| 複数回の段取り | そのたびに位置決め誤差が入る | 関連寸法はできるだけ 1 回の段取りで仕上げる |