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FMEAのAPとは:RPNだけで優先順位を決めない
重大度の高い故障が、低いRPNに埋もれることがあります。Action Priority(AP)の考え方と、対策の優先順位を決める際の注意点を整理します。
01重大度・発生度・検出度
| 項目 | 何を問うか | 1 点 | 10 点 |
|---|---|---|---|
| 厳しさ S | 故障が起きたときの結果の重大さ | ほとんど影響なし | 安全に関わる、または法規違反。予兆なし |
| 発生度 O | その原因がどれだけ起きるか | ほぼありえない | 非常に高い。継続的に発生 |
| 検出度 D | 現行の管理でどれだけ捕まえられるか | ほぼ確実に止められる | 検出できない、または検査されない |
02RPNの限界
従来の RPN は重大度、発生度、検出度を掛け合わせます。しかし、異なるリスクの組み合わせが同じ点数になるため、重大な故障モードが埋もれることがあります。AP は三つの評価を優先順位のルールに沿って扱います。
- 同じ積でも意味が違う。9×2×2=36 と 2×9×2=36 は同点ですが、前者は安全の問題、後者はよくある軽微な外観不良です。
- 不連続である。1000 通りの積のうち相異なる値は 120 しかなく、順位づけで大量に並びます。
- 点数の操作を誘発する。しきい値を下回らせるために D を 7 から 6 にすれば通ってしまう、変わったのは数字であってリスクではありません。
03APによる優先順位
AIAG-VDA方式では、単純なRPNのしきい値ではなくAPで対策の優先順位を決めます。重大度を重視し、発生度と検出度も組み合わせて高・中・低の優先度を判断します。
| 状況 | AP | 意味 |
|---|---|---|
| S 9-10 かつ O 4-10 | H | 対応が必要。しない場合は理由の記録が必要 |
| S 9-10 かつ O 2-3、D が高い | H | 同上 |
| S 7-8 かつ O 6-10 | H | 優先度は高い |
| 中間的な組み合わせ | M | 対応すべき、または妥当性を記録する |
| S も O も低い | L | 対応しなくてよいが、記録は残す |
高いAPを無理に低くすることが目的ではありません。対策を実施するか、実施しない理由を記録し、判断の根拠を残します。
04七つの進め方
- 計画と準備。範囲、プロジェクトの境界、参加者を定義する(5T:意図・時期・チーム・作業・ツール)。
- 構造分析。システムを上中下の 3 層(システム/サブシステム/部品または工程)に分解する。
- 機能分析。各層が何をすべきかを、測れる形で定義する。
- 故障分析。故障影響・故障モード・故障原因の因果の連鎖を明らかにする。
- リスク分析。S/O/D を評価し、AP を引く。
- 最適化。H と M に対して行動を挙げ、担当と期限を決め、再評価する。
- 結果の文書化。社内外への伝達と記録。
05FMEAを更新し続ける
工程が変わればFMEAも見直します。顧客苦情、新たな故障モード、管理方法の変更、図面改訂は、現場と検査担当を交えて再評価するきっかけです。
- 客先クレームまたは社内の重大不良(8D の D7 で FMEA に戻って直すこと)
- 設計変更、材料変更、仕入先の変更
- 工程条件または設備の変更
- 量産初期の実不良率が、当初評価した O と明らかに乖離している