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品質管理読了時間 13 分

FMEAのAPとは:RPNだけで優先順位を決めない

重大度の高い故障が、低いRPNに埋もれることがあります。Action Priority(AP)の考え方と、対策の優先順位を決める際の注意点を整理します。

AP

01重大度・発生度・検出度

項目何を問うか1 点10 点
厳しさ S故障が起きたときの結果の重大さほとんど影響なし安全に関わる、または法規違反。予兆なし
発生度 Oその原因がどれだけ起きるかほぼありえない非常に高い。継続的に発生
検出度 D現行の管理でどれだけ捕まえられるかほぼ確実に止められる検出できない、または検査されない
検出度は、値が高いほど不具合を見つけにくい評価です。

02RPNの限界

従来の RPN は重大度、発生度、検出度を掛け合わせます。しかし、異なるリスクの組み合わせが同じ点数になるため、重大な故障モードが埋もれることがあります。AP は三つの評価を優先順位のルールに沿って扱います。

  • 同じ積でも意味が違う。9×2×2=36 と 2×9×2=36 は同点ですが、前者は安全の問題、後者はよくある軽微な外観不良です。
  • 不連続である。1000 通りの積のうち相異なる値は 120 しかなく、順位づけで大量に並びます。
  • 点数の操作を誘発する。しきい値を下回らせるために D を 7 から 6 にすれば通ってしまう、変わったのは数字であってリスクではありません。

03APによる優先順位

AIAG-VDA方式では、単純なRPNのしきい値ではなくAPで対策の優先順位を決めます。重大度を重視し、発生度と検出度も組み合わせて高・中・低の優先度を判断します。

状況AP意味
S 9-10 かつ O 4-10H対応が必要。しない場合は理由の記録が必要
S 9-10 かつ O 2-3、D が高いH同上
S 7-8 かつ O 6-10H優先度は高い
中間的な組み合わせM対応すべき、または妥当性を記録する
S も O も低いL対応しなくてよいが、記録は残す
APは定められた表から求めます。三つの点数を再び掛け合わせるものではありません。

高いAPを無理に低くすることが目的ではありません。対策を実施するか、実施しない理由を記録し、判断の根拠を残します。

04七つの進め方

  1. 計画と準備。範囲、プロジェクトの境界、参加者を定義する(5T:意図・時期・チーム・作業・ツール)。
  2. 構造分析。システムを上中下の 3 層(システム/サブシステム/部品または工程)に分解する。
  3. 機能分析。各層が何をすべきかを、測れる形で定義する。
  4. 故障分析。故障影響・故障モード・故障原因の因果の連鎖を明らかにする。
  5. リスク分析。S/O/D を評価し、AP を引く。
  6. 最適化。H と M に対して行動を挙げ、担当と期限を決め、再評価する。
  7. 結果の文書化。社内外への伝達と記録。

05FMEAを更新し続ける

工程が変わればFMEAも見直します。顧客苦情、新たな故障モード、管理方法の変更、図面改訂は、現場と検査担当を交えて再評価するきっかけです。

  • 客先クレームまたは社内の重大不良(8D の D7 で FMEA に戻って直すこと)
  • 設計変更、材料変更、仕入先の変更
  • 工程条件または設備の変更
  • 量産初期の実不良率が、当初評価した O と明らかに乖離している