工場の安全読了時間 11 分
静電気の損傷は出荷後に現れることがある
最終検査を通った部品でも、静電気による潜在的な損傷が後から故障につながることがあります。帯電が起きる場所と、対策の確認方法を押さえます。
01帯電はどこで起きるか
材料同士が接触して離れると、電荷が移動することがあります。作業や梱包の途中で帯電しても、火花が見えるとは限りません。静電気対策は、接触する場所と接地までの経路を把握することから始めます。
| 動作 | 相対湿度 10〜20% | 相対湿度 65〜90% |
|---|---|---|
| カーペットの上を歩く | 35,000 V | 1,500 V |
| ビニル床の上を歩く | 12,000 V | 250 V |
| 作業椅子から立ち上がる | 18,000 V | 1,500 V |
| 机の上の PE 袋を取る | 20,000 V | 1,200 V |
| テープを引きはがす | 15,000 V 以上 | 数千 V |
02三つの放電モデル
| モデル | 正式名称 | 想定される場面 |
|---|---|---|
| HBM | 人体モデル | 帯電した人が部品に触れる。最も多い |
| MM | 機械モデル | 帯電した金属治具や設備が部品に触れる |
| CDM | デバイス帯電モデル | 部品自体が帯電し、接地面に触れる。放電が極めて速い |
03EPA内での管理
EPA(静電気保護区域)では、人、工具、作業面の電位差を管理します。接地と適切な材料で、電子部品に放電が流れる可能性を下げます。区域を設けるだけでなく、運用中の確認が必要です。
- リストストラップ。人体接地の主手段。1 MΩ の抵抗を直列に入れて電流を制限し、始業前に毎日点検します。
- 静電気対策マット(作業台・床)。表面抵抗は 10⁶〜10⁹ Ω。低すぎれば感電の危険、高すぎれば漏洩しません。
- 静電靴と床材。立ち作業や移動しながらの作業で人を接地する方法です。
- イオナイザ。絶縁物上の電荷を扱います。樹脂ケース、テープ、梱包材は接地できず、中和するしかありません。
- 梱包材。導電袋(黒)、シールド袋(銀)、静電気拡散袋(ピンク)は用途が違い、外部電界を遮れるのはシールド袋だけです。
04湿度と環境
湿度は帯電の緩和に役立ちますが、接地や適切な梱包の代わりにはなりません。製品と現場に合う環境条件を定め、季節や工程が変わっても対策が機能するか確かめます。
- 30% 未満:静電気のリスクが急に高まります。
- 70% 超:金属部品や基板に酸化と結露のリスクが出ます。
05対策の有効性確認
| 項目 | 頻度 | 道具 |
|---|---|---|
| リストストラップの機能 | 毎日の始業時 | リストストラップテスタ |
| マット(作業台・床)の表面抵抗 | 四半期ごと | 表面抵抗計 |
| イオナイザのバランス電圧 | 四半期ごと | チャージドプレートモニタ(±35 V 以内) |
| EPA の接地抵抗 | 年 1 回 | 接地抵抗計 |
| 人と道具の帯電量 | 抜き取り | 非接触式の静電気測定器 |